映画『シャッターアイランド』を観ていて、
**「やけにタバコが気になった」**という人は少なくありません。
・火をつけたはずなのに煙が出ていない
・会話の途中でいつの間にか消えている
・吸っている人と、なぜか一切吸わない人がいる
最初は
「演出ミスかな?」
「映像の都合?」
と流してしまいがちですが、実はこの違和感こそが
『シャッターアイランド』という映画を理解するうえで
とても重要な手がかりになっています。
この映画のタバコは、
単なる小道具ではありません。
なぜタバコだけが不自然に描かれているのか。
なぜ視聴者に「気持ち悪さ」を残すのか。
この記事では、
難しい専門用語や込み入った考察を使わずに、
「タバコの違和感の正体」だけをシンプルに解説していきます。
読み終えたあと、
もう一度『シャッターアイランド』を観返したくなるはずです。
映画『シャッターアイランド』を注意深く観ていると、
タバコに関していくつもの小さな違和感が積み重なっていきます。
まず気づきやすいのが、
火をつけたはずのタバコから煙が立っていない場面です。
確かにライターで火をつけているのに、その直後のカットでは
煙も立たず、燃えている様子も見えません。
さらに不思議なのが、
タバコの灰がほとんど落ちないこと。
長く吸っているはずなのに灰皿が汚れず、
途中で自然に消えてしまったように見える場面もあります。
会話の流れの中で、
さっきまで手に持っていたタバコが、いつの間にか消えている
というケースも何度か登場します。
カメラが切り替わっただけで、存在そのものがなかったかのように扱われます。
そしてもう一つ、はっきりとした違いがあります。
医師側の人物たちは、ほとんどタバコを吸わないのです。
喫煙が当たり前だった時代設定にもかかわらず、
彼らは常にタバコから距離を置いています。
これらは単体では見過ごしてしまうほど小さな違和感ですが、
積み重なることで
「この世界はどこかおかしい」
という感覚を、観る側に静かに植え付けていきます。
なぜタバコだけが不自然に描かれているのか
では、なぜ『シャッターアイランド』では
タバコだけが、ここまで不安定で違和感のある描かれ方をしているのでしょうか。
結論から言うと、
タバコは「主人公の現実認識が揺らいでいること」を示すための演出です。
この映画では、
主人公が見ている世界そのものが、完全な現実ではありません。
そのため、日常的で当たり前に存在するはずの物ほど、
正確な形を保てなくなります。
タバコは
・火をつける
・煙が出る
・灰が落ちる
という「現実感」を強く伴う小道具です。
だからこそ、
主人公の認識が崩れている場面では、
タバコの状態も安定しなくなるのです。
タバコの違和感は「演出ミス」ではない
ここで重要なのは、
これらが撮影上のミスや偶然ではないという点です。
もし単なるミスであれば、
ここまで一貫して
・煙が出ない
・灰が落ちない
・消える
といった現象が繰り返されることはありません。
むしろ、
観ている側に
「なぜか気になる」
「理由は分からないが落ち着かない」
という感覚を与えるために、
意図的に配置された演出だと考えるほうが自然です。
なぜ「医師側」はタバコを吸わないのか
もう一つのポイントが、
医師側の人物がほとんどタバコを吸わないことです。
これは
・健康志向
・立場の違い
といった理由ではありません。
医師側の人物は、
物語の中で「現実を把握している側」に立っています。
そのため、主人公のように
現実認識が揺らぐ演出を受ける必要がないのです。
つまり
・主人公側 → タバコが不安定
・医師側 → タバコが存在しない
この対比によって、
観客は無意識のうちに
「どちらの視点が歪んでいるのか」
を感じ取るようになっています。
タバコは「気づく人だけが気づく伏線」
『シャッターアイランド』のタバコ演出は、
分かりやすく「ここが伏線です」と主張するものではありません。
初見では
「なんとなく変だな」
程度で終わります。
しかし、物語の真相を知ったあとに観返すと、
タバコの違和感は
主人公の精神状態を示すサインだったことがはっきり見えてきます。
これは
あとから意味が回収されるタイプの、
非常に静かな伏線です。
タバコ以外にも存在する「同じ違和感」
実は『シャッターアイランド』には、
タバコと同じ役割を持つ違和感が、ほかにもいくつも仕込まれています。
・会話の噛み合わなさ
・物の配置の不自然さ
・時間や状況のズレ
これらはすべて、
「世界そのものが安定していない」ことを示す演出です。
タバコは、その中でも
最も分かりやすく、最も身近な例にすぎません。
まとめ:タバコの違和感が示しているもの
『シャッターアイランド』におけるタバコは、
単なる喫煙描写ではありません。
・火がつかない
・煙が出ない
・灰が落ちない
・いつの間にか消える
こうした違和感はすべて、
主人公の見ている世界が「完全な現実ではない」ことを示すための演出です。
もしこの違和感に気づいていたなら、
あなたはすでに
この映画の核心にかなり近づいています。
タバコ以外にも、
『シャッターアイランド』には多くの伏線や疑問点が存在します。
それらをまとめて整理した記事はこちらで解説しています。
→ シャッターアイランドの伏線・疑問点を徹底解説した記事

